コートの肩は、身体寸法に重ね着の条件を足して考える

肩幅が合っていても、内側のジャケットやニットが厚いと袖付けが窮屈になる場合があります。肩の端だけ広げると袖が長く見えることもあります。

最もよく使うインナーで前後の張りを見ます。肩、袖幅、胸の余裕を別に比較し、身体寸法をそのまま完成寸法として扱いません。

肩先の位置と肩の傾斜を、別々に見る

肩幅は横方向の位置、肩の傾斜は首側から肩先へ下がる角度に関わります。肩先が落ちて見えるからといって、必ずしも肩幅だけが広すぎるとは限りません。袖の重さ、意図したドロップショルダー、前後の身頃バランスでも見え方は変わります。

見え方候補となる原因見比べる場所
肩先が外へ落ちる肩幅・デザインのゆとり肩線の端と上腕の位置
首から脇へ斜めのしわ傾斜・前後バランスなど正面と背面のしわ
肩先が持ち上がる肩の角度や内側の厚み肩パッドとインナー

肩幅を左右各1cm狭めたい例では、肩先を移すだけで袖ぐりの線と長さも変わります。修正後の袖ぐりへ元の袖をそのまま付けられるか、袖山のいせや合印を照合します。「肩を2cm小さく」とだけ伝えると、片側2cmか両側合計2cmかでも食い違います。

写真のしわ一本だけで補正量を断定せず、同じインナーを着た正面・側面・背面で判断します。体の左右差がある場合は左右共通の補正にしない選択もあります。

腕が動くかは、袖の太さだけでは決まらない

二の腕に十分な幅があっても、袖山の高さや袖ぐりの位置が合わないと腕を上げにくいことがあります。反対に袖を太くしただけでは、脇の余りが増えて見える場合があります。静止した形と、腕を前へ伸ばしたときの身頃の引かれ方を分けて考えます。

状態先に見る箇所直し方の方向
上腕の周囲だけきつい袖幅と生地の伸び幅を足す位置を検討
腕と一緒に身頃が大きく上がる袖山・袖ぐり・付け角度接続部分を含めて設計
袖がねじれて落ちる前後の識別と合印向き・付け位置を照合

袖ぐりの裁断線の長さだけを合わせても、袖付けは確定しません。出来上がり線、前後、いせの設計を合わせる必要があります。

測った寸法だけでは、着心地を言い切れない

身体の周囲が同じでも、前後の厚み、肩の傾き、普段の姿勢で服の掛かり方が変わります。写真で見えるしわだけから原因を断定せず、どの動作でつっぱるかを併せて見ます。体型の特徴を良し悪しに置き換える必要はありません。

着用写真は正面・側面・背面を自然な姿勢でそろえ、腕を前に出すなど困る動作を別に記録します。服で解決するのはフィットと扱いやすさであり、体型を矯正したり症状を治したりすることではありません。

肩先と袖付け位置、背中の張りを写真で示します。幅を広げた後に袖が長くならないかも含めて、型紙全体で調整してもらいます。

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