袖を太くしても、腕が上がるとは限らない
上腕の周囲に足りない量を増やす補正と、腕を上げにくい袖の構造を変える補正は別です。袖幅が十分でも、袖山や袖ぐり、付け角度によって身頃が大きく引かれることがあります。
腕を下ろした状態で上腕が張るのか、前へ伸ばすときだけ背中が引かれるのかを比べます。前者なら袖幅、後者なら身頃との接続も候補になります。脇を大きく開ければ必ず動きやすくなるという単純な関係ではありません。
腕が動くかは、袖の太さだけでは決まらない
二の腕に十分な幅があっても、袖山の高さや袖ぐりの位置が合わないと腕を上げにくいことがあります。反対に袖を太くしただけでは、脇の余りが増えて見える場合があります。静止した形と、腕を前へ伸ばしたときの身頃の引かれ方を分けて考えます。
| 状態 | 先に見る箇所 | 直し方の方向 |
|---|---|---|
| 上腕の周囲だけきつい | 袖幅と生地の伸び | 幅を足す位置を検討 |
| 腕と一緒に身頃が大きく上がる | 袖山・袖ぐり・付け角度 | 接続部分を含めて設計 |
| 袖がねじれて落ちる | 前後の識別と合印 | 向き・付け位置を照合 |
袖ぐりの裁断線の長さだけを合わせても、袖付けは確定しません。出来上がり線、前後、いせの設計を合わせる必要があります。
残せる部分と、いったん戻す部分を分ける
すでに縫われた物を変更する場合は、材料代が不要だから安いとは限りません。裏地、縫い代、装飾、元の傷みを調べる作業や、ほどいて組み直す作業が加わります。変更したい部分の外側にも影響が及ぶため、完成している工程をそのまま使えるかが分かれ目です。
| 現状 | 選べる方向 | 確認する制約 |
|---|---|---|
| 未裁断 | 型紙や配置から変更 | 材料量と設計 |
| 裁断済み | 取れる範囲で補正 | 縫い代・残り布 |
| 完成済み | 部分修正・部品交換 | ほどける構造と跡 |
スカートを短くする例でも、単純に裾から詰める案と、裾の刺繍を残して腰側を変更する案では作業が違います。残したい意匠を一つ決めると、どの縫い目を触る必要があるかを比較しやすくなります。
広げる補正は、縫い代や別布が足りなければ同じ素材だけでは行えません。元通りにする案だけでなく、切り替えを生かす案や新規制作も比較します。
補正・グレーディング・印刷倍率の変更は別の作業
補正は特定の体型や着心地に合わせて型紙を直すこと、グレーディングは基準となる形から複数サイズへ展開することです。印刷倍率の変更はすべての長さを同じ割合で変えるため、肩幅だけ、胸だけを調整する代わりにはなりません。
| 方法 | 変わる範囲 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| 部分補正 | 指定部位と、それにつながる線 | 胸や肩など特定の着心地の改善 |
| サイズ展開 | 決めた部位別の増減 | 同じデザインの複数サイズ |
| 一律の拡大・縮小 | 丈・幅・位置が同じ倍率で変化 | 衣服の体型補正には原則として使わない |
腕を下ろした写真と前へ出した写真を用意します。袖口もきついのか上腕だけなのかを区別し、素材の伸びと下に着る服を伝えましょう。
縫う前の設計を、パタンナーに。
新しい型紙・補正・サイズ展開を相談する
型紙の新規作成や修正、サイズ展開を扱う候補。自分で縫う場合や別の縫製担当へ渡す場合に、必要なパーツと納品形式を相談できます。
型紙の作成と、縫い上がった服の納品は別です。紙・PDF・DXFなどの形式、縫い代、出力費、修正の範囲を確かめてください。
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